民事上のトラブル解決方法(金銭を回収するために)

(1) 紛争解決の手段

Ⅰ 合意による紛争解決の手順


内容証明郵便


交渉


③ ア.訴え提起前の和解
→当事者間に合意が成立した場合に、当事者が合意した和解案を裁判所に提出する。
*金銭債権以外について有効   例 建物明け渡し

 イ.強制執行認諾文言付公正証書
*金銭債権について有効


調停
特徴 当事者双方にとって利益になるように主張を歩み寄らし紛争の実情に即した柔軟な解決。

例…分割弁済、貸金の一部免除、建物明渡しの猶予期間の設定

  長所 関連紛争を一挙解決。
     相手方の自発的履行が期待できる。
     簡易な手続き。
  短所 相手方の出頭が必要。 
      時間がかかる。


Ⅱ 強制的紛争解決


保全処分(仮差押)…訴えの準備手続き  

主な要件
保証金の供託が必要
保全の必要性の疎明

支払督促

主な要件
相手方の所在が判明していること。
裁判所が、相手方の異議により、相手方住所地の裁判所になるので遠隔地の相手方には不向き。
原則として、金銭の請求であること。

少額訴訟
特徴
利用者として訴訟に関する知識、経験に乏しい一般市民を想定している。
訴えは、定型訴状の様式を利用できる。多くが訴訟上の和解で解決。

主な要件
60万円以下の金銭請求
相手方の所在が判明していること。

長所 原則一期日審理、即日判決言い渡し。


訴訟
例 建物明け渡し請求の一般的経過
受任契約後2週間で催告解除に関する内容証明郵便配達。その後提訴。
提訴後1ヶ月後に期日。相手方が欠席して答弁書を出さない場合は判決。
出席ならさらに1ヶ月後に期日。


訴訟上の和解

要件
相互の譲歩があること。すなわち全面勝訴の内容を得ることはできない。

長所 関連紛争を一挙解決。任意の履行が期待できる。

金銭回収の方法・手順

(2) 紛争解決のステップ

① 話し合い

② 勝訴判決などの債務名義取得手続き

③ 強制執行手続きによる現実化。ただし責任財産が無いと無理
(相手方に返済能力がなければ、債務名義を得たとしても、それは絵に描いた餅にすぎない。)

責任財産の例と留意点
  ・不動産→担保価値注意
 ・給与債権、退職金債権→勤務先情報
 ・預貯金→取引金融機関情報